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vol.32 一度使えば手放せない、市松・ブラウンチェックシリーズのシール織ができるまで 

32回目の今回は、和歌山県高野口で市松格子・ブラウンチェックの生地ができるまでを取材しました。
全てのモノには生まれてきたストーリーがあります。
商品を手にとるお客様へそのストーリーを少しずつでもお伝えできればと思います。

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手にした人を虜にするその生地は、和歌山県の紀ノ川のほとりで作られています。

高野山の入口にあたる高野口地区は、昔からシール織の産地であります。
ドイツよりW力織機を輸入したことからはじまり、今ではパイル織の産地として国内シェア90%を誇り、その品質の高さは世界的にも有名です。
シール織のシール(Seal)は、アザラシという意味です。
その独特な光沢感とふわふわした質感がアザラシに似ていることからつけられました。
この生地は、日本の中でもこの和歌山県高野口地区だけで作られている特別な生地です。最大の特長は、パイルが抜けにくく、洗濯後も風合いの変化が少ないこと。
組織は両面にパイルが現れる織組織です。
シール織の生地ができるまでの工程の最初は「整経」から始まります。

この「整経」ではパイル部分(毛羽部分)と縦糸の準備をしています。
巻き付けた糸は織機に移動出来るように「ビーム」と呼ばれるドラム状のものに巻き取ります。

次に「織り」へ。

ガシャンガシャンと規則正しく大きな音を立てて一本一本の糸が通されていきます。
同時に何台もの織機を稼働させるので、話し声は聞き取れません。
職人たちは、常に機械と糸をチェックします。織っている工程で起こってしまう糸切れの対処やなにか異常がないかを確認します。
自分の身体よりももっともっと大きな機械を動かすことは、危険とも隣り合わせです。現場はぴりっとした緊張感が漂います。
そして、シール織の生地ができるまでの工程の中で変わった工程が「糸抜き」です。
織りあがった生地の緯糸を手で抜き取る作業を「糸抜き」といいます。この作業によって、パイルを裏面にも引っ張り出すことができるのです。
この「糸抜き」の工程、どのくらいの時間がかかると思いますか?
正解は、一反(30m)で約2時間!
ひたすら黙々と息を合わせながら糸を引っ張り続けます。
工場に響く、シャーッシャーッという糸を引く音。

オーガニックコットンの気持ちいい糸とは言っても、糸の摩擦は指への負担も大きく、時には糸で指が切れてしまうこともあるようです。
わかりやすいようにゆっくりと糸抜きをしているところを動画に撮ってきました。



そしてその生地は洗いの工場へ運ばれます。
ここまで様々な工程を経てきた生地は、思わぬ汚れがついてしまったりするもの。また、綿本来の気持ち良さを残しているプリスティンのオーガニックコットンだからこそ綿がそもそも持っているアクや綿毛がまだ残っています。
ここでは80度のお湯で30分、洗いをかけます。通常の綿製品においては、より短く確実に汚れを落とすために洗浄力の高い薬剤を使用しますが、そういったものも使いません。
時間をかけてお湯だけで丁寧に洗います。


湯気が立ち上り、生地がぐるぐるとまわる。。。水がにごっているのがわかるように、綿の油分やアク、製造工程でついてしまった汚れをここでしっかりと落としていきます。
お湯で丁寧に洗ったあとにはさらに水洗いを3回。そして、乾燥機でしっかりと乾かします。

乾かしてふわふわになった生地をお次は仕上工場に持っていきます。
機械の中央部分には、このような針がたくさん並んでいます。
この針で、洗ったり乾燥している間に撚れてしまった毛先を解いていきます。
髪の毛を乾かした仕上げに櫛を通すイメージですね。
ここまでの過程で、綿花を紡績して糸となったものを織ったり加工してきましたが、肌に触れる部分(毛先)はもとのふわふわの綿に戻していくような工程です。

訪問したときにはオーガニックコットンファーの毛割りが行われていました。
できあがった生地が見ただけでふわふわでしあわせな気持ちに~♪
ここまでいくつもの工程を経て、ようやく生地が完成です。
長い反物状の織物を裁断して、毛布にはヘム巻きを、ひざ掛けやバギー用ケットはかがりミシンをかけます。
一般的な毛布といえば、起毛をしたものが主流。
ふわふわの質感は出るものの、ブラッシングによって生地にはダメージを与えます。そのダメージは長く使ううちにへたりやすさ、遊び毛を発生させます。
同じふわふわの質感でもシール織は起毛を施さないので、ダメージが少なく遊び毛も少なくなります。

赤ちゃんはお母さんをはじめはにおいをもとに探すと言われている大切な時期に遊び毛が舞わないように、という思いから、赤ちゃんにもママにも安心して使ってもらえるためにプリスティンでは綿毛布やケットをシール織で作っているのです。
生地にするまでに、原綿を紡績して糸にするために撚って、その糸を織って…という工程を経て、シール織はさらに糸を毛割りします。それは、コットンそのもののふわふわとした気持ちよさを感じてほしいからです。シール織の気持ちよさには、たくさんの工程と職人たちの技が込められています。

取材に伺ったこの日は7月中旬。

工場の中は40度近い暑さと高い湿度で、写真を撮っているだけでクラクラするほど。
みなさん汗を流しながら真剣な眼差しで生地と向き合う姿にただただ頭の下がる思いでした。

この工場の社長から、こんな言葉をいただきました。

『ご存知の通り繊維製品は、織・編・加工すべて機械を使いますが細やかな調整等は職人により左右されます。
だから、調整次第では全く違った風合いになることもあり、繊維製品の難しさでもありやりがいでもあります。
高野口産地でもこの技術の伝承が課題となっていますが、何とか産地が一つになって乗り越えていきたいと思います!』

プリスティンはこれからも日本各地にある職人の技やその素晴らしさを商品とともにお伝えしていきたい!と感じた取材となりました。
いかがでしたか?
たくさんの職人によって作り出される、究極の一枚。
ぜひその優しい触り心地に包み込まれてみてください。
きっとあなたも虜になってしまうことでしょう。


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