「SDGs」「サスティナブル」などと一緒に、近年よく耳にするようになった「エシカル」というキーワード。ファッション業界においても非常に重要な概念となっています。
「エシカルファッション」が意味する考え方と、そのためにできることを探ってみましょう。
エシカルファッションとは?
エシカル(ethical)は「倫理的な」という意味の単語で、法律で明確に定められているものではなく、自然環境や人権、社会全体に対して「道徳的・良識的にどんな精神と行動が必要だろう」と考える規範のことを指します。
つまりエシカルファッションとは、環境問題は当然のこと、労働問題や人権問題にも配慮して生産された「人と地球にやさしいファッション」と表すことができます。
エシカルファッションを定義するさまざまな基準のうち、いくつかを紹介します。
ファストファッションや環境に害のあるファッション消費を見直す
ファストファッションは流行を取り入れた安価な製品を大量生産・販売する業態のこと。安価な衣服は手に取りやすい一方で、トレンドが過ぎると簡単に大量廃棄され、焼却・埋め立て処分による土壌汚染の問題を引き起こしています。
短いサイクルで服を消費し使い捨てするような状況を改善するためには、洗濯やお手入れの方法で一着を大切に長く着る工夫をしたり、着なくなった服は廃棄ではなくリサイクルとしての回収へ出すということから始めるのが簡単かもしれません。
生産する労働者の賃金・権利・労働環境を守る
オーガニックではない通常のコットンの一大産地でもあるインドでは、低賃金での児童労働や、農薬による農家の健康被害が深刻です。
また、2013年にバングラデシュで起きた「ラナ・プラザ崩落事故」では、劣悪な環境の中、アパレルブランドの縫製工場で働いていた多くの女性労働者が犠牲となりました。
生産過程でどのような人が関わり、手元に届いているのかを考えてみることが大切です。
プリスティンが使用するオーガニックコットンの認証には、農薬の不使用をはじめ、児童労働を行わないこと、衛生的な労働環境であることなどが盛り込まれています。
さらに、糸から生地、製品となるまでの工程をすべて日本で行い、「いつ、どこで、誰が」つくったかがわかるように自社で管理しています。
水の使用量を最小限に抑える
ファッションが関わる環境問題として、染色時に発生する膨大な水の消費と、それに伴う化学物質を含む排水による水質汚染はその代表的なものです。
主要なコットンの生産地は水資源に乏しい地域とも重なっており、このような場所で水を使い過ぎることによる環境被害が懸念されています。
プリスティンでは綿本来の色合いを生かすため無染色にこだわっています。決してカラフルとは言えない生成りや白、グレーですが、染色を施していない「人と地球にやさしい色」を楽しむということも、十分にエシカルな選択と言えます。
エシカルファッションの実践のために
SDGsの重要性が高まっている今、生産の現場と同様にファッションを消費する人にもエシカルな視点が求められています。
そのためには、まずは服の原料や素材に着目し、環境に配慮した製品を選ぶ方法があります。さらにその服が作られている背景や生産の過程について興味をもってみるだけでも、よりエシカルな考えや行動に近づくことができます。
地球全体の人や環境に思いを巡らせながらファッションを楽しむことが、エシカルファッションの実践への第一歩となるのです。