よりよい世界を目指すために、2030年までに達成すべき国際目標として定められたSDGs。
「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」として定められた17の目標の多くは、現状ほとんどの割合を占める一般のコットンが抱える問題と、オーガニックコットンのもつ可能性を示しています。
オーガニックコットンと不純物
プリスティンではものづくりをするすべての工程において地球・環境・人にやさしい方法を選択しており、出来上がった生地に関しても、色を染めずに綿そのものの色合いを存分に生かします。
そうすると問題になるのが「夾雑物(きょうざつぶつ)」や「コンタミ」。
「コンタミ」は本来の規格以外の繊維や異物の混入、「夾雑物」も似たような意味合いで生地の中に残る天然の色素や植物の破片のことを指します。
天然繊維の製造過程で、数ミリほどの別の糸の破片が混入してしまうことは絶対に避けることができません。また、製造工程の多くを手作業に頼るオーガニックコットンにおいて、綿花の茎や葉がほんの小さな黒い粒となって生地に残ることも同様です。
オーガニックではない一般の綿製品であれば、このような混入物を取り除くために薬剤を使用した漂白を念入りに行うことで不純物の無い生地を作っていますが、オーガニックコットンではこうした化学処理を行わないため、ほんの小さな繊維の欠片やポツポツとした粒がそのままになるということが起こります。
当然ながらこれらは人体にまったく無害なものであり、それどころか化学的な処理を経ていない分むしろ通常よりも健康的な証拠であるということは言うまでもありません。
肯定的に捉えれば、オーガニックコットンならではの風合いや味わいを作っていると言えるコンタミや夾雑物ですが、残念ながら未だにこうした「混じりがあること」に抵抗を覚える価値観が存在しているのが現実です。
SDGsから考える夾雑物・コンタミ
出典:
国際連合広報センター 2030アジェンダ
夾雑物やコンタミそのものを徹底的に排除しようとすること、あるいは「混入」してしまった生地や衣服を通常の流通から外したり廃棄してしまうという現状は、SDGsが掲げる目標やエシカルなものづくりからは遥かに遠ざかっています。
不純物のない均一なものだけを追い求め、異物を除去するために化学薬品による漂白を行うことや合成染料を用いて染色を行うことは、貴重な水資源を大量に使うことによる川や湖などの枯渇、さらにその過程で出る排水による土壌汚染、水質汚染に繋がります。
これらの問題は、SDGsのゴールのうち特に「14.海の豊かさを守ろう」「15.陸の豊かさも守ろう」といった地球環境の改善を目指す目標と相反するものです。
土づくりの段階から化学肥料や農薬を使用せず、漂白・染色も行わないオーガニックコットンは、この目標達成に大きく関わり海と陸の豊かさを守ることに寄与しています。
加えて、農薬や汚染排水の影響からその現場で働く人々の健康を守ったり、インドの綿花栽培現場の貧困解消に繋がったりと、SDGsの観点でオーガニックコットンが果たすことができる役割は非常に大きなものになっています。
ファッション・繊維産業がもたらす水の使用量と汚染は石油産業に次ぐ2番目の大きさであると言われる昨今、こうした現状に目を向け課題の解決へシフトを切ることは急務であり、生産の現場と消費者のどちらにも、よりエシカルな視点が求められています。
SDGsの1つに「12.つくる責任 つかう責任」という指針もあります。
流行だから、安いから、といった理由だけでものを選ぶのではなく、多くの人が正しいと思うことや社会的規範を基準に購入するものを決める「エシカル消費」が重要と言えます。
身近なところから始めるSDGs
SDGsやエシカル消費と言われても「いまいち何をしたらいいのかわからない」という方も多いでしょう。
暮らしの中にあるモノが、いつ、どこで、どのようにして作られたのかを考えてみることから始めてみてはいかがしょうか。
今回のテーマに沿うならば、オーガニックコットンの生地になぜ夾雑物やコンタミが発生するのか、それを取り除かないままでいることにどんな意味があるのか。
こうした視点を持って、まずは身近に存在しているモノを少しだけ深く知ろうとすることから、次に自分が使うものに何を選択しようかを考える、そうした連鎖が、私たちひとりひとりができるSDGsの第一歩になります。
これだけモノがあふれている時代、買い物でなにを選ぶのかは投票のようなものです。地球や社会をよくするための一票を投じることが、幸せな未来を創る一端を担っているのです。