私たちの暮らす日本は、周囲を海で囲まれた島国であると同時に、国土の3分の2を森林が占めています。
自然を構成する非常に大きな要素である「山」と「海」。
この2つには、切っても切れない関係があります。
山が海に与える影響
海中で暮らす生物、特に沿岸部に生息する生き物の多くは、河川からの養分供給に頼って生きています。
山の樹木から落ちた葉や、森林の土壌に含まれる様々な栄養分が雨水や地下水に溶け込み、河川を通じて運ばれることで、海中の植物プランクトンが増え、それを食べる動物プランクトンが増え、それを魚が食べて・・・という食物連鎖のサイクルが回ります。
つまり、森林資源が豊かであればあるほど、そこにつながる河川や海の生態系も豊かになるのです。まさに、山の豊かさが海に恩恵をもたらしていると言えます。
「山」が真珠をつくる?
山から海へ流れ出る豊かな水には、カルシウムも多く含まれています。
このカルシウムを必要とするものの一つが「真珠」です。貝から採取される宝石の一種である真珠ですが、貝殻とも共通するその成分は、実に90%以上がカルシウムで構成されています。
デリケートな稚貝の状態からゆっくりと育ち、時間をかけて少しずつ作られていく真珠。一粒のパールが出来上がるには、およそ2年の月日を要します。
美しい真珠の形成にも、山から供給される栄養豊富できれいな水が不可欠なのです。
宇和海の真珠と未来への思い
日本でもトップクラスの真珠の生産地である愛媛県・宇和海周辺。リアス式海岸を活かした養殖による、美しい真珠の生産が盛んな地域です。
この地域では「森は海の恋人」という考えのもと、真珠のもとになるアコヤ貝を守るため、農薬や化学肥料に頼らない農業に地域全体で取り組み、豊かな山をつくることで、美しく豊かな海を保つ活動が続けられています。
地球温暖化に伴う海水温の上昇などの影響を受け、年々養殖作業が困難な状況にありながらも、単に生産活動をするのではなく「次世代に美しく豊かな海を、そして次世代に引き継げる漁業を」という未来への思いがそこにはあります。
同様に「きれいな地球を子どもたちに残したい」という思いを胸にオーガニックコットンを取り扱うプリスティンは、この理念に賛同しています。
シンデレラパール
愛媛のきれいな海でできあがる真珠のうち、ちょっぴり角が出てしまっているものや形がまん丸ではない、生まれたままのパールをプリスティンでは「シンデレラパール」と名づけました。
ふたつとして同じものがなく一粒一粒に個性があるシンデレラパールには、たくさんの人の海や山への思い、未来への思いがつまっています。
【 ものづくりストーリー 】
シンデレラパールができるまで
豊かな自然を守るために考えよう
国際連合は6月8日を「世界海洋デー」と制定しています。
世界海洋デーは、海が私たちの日常に果たす重大な役割についての認識を新たにする日です。人間が海から受けている恩恵に改めて感謝の心を持ち、人間の行動が海にもたらす多大な影響について考え、海を守っていくために団結しようというメッセージが込められています。
また、SDGs(持続可能な開発目標)の17項目の中には「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさを守ろう」の両方が設定されています。
山や森を守ることで海が守られ、海を守ることは私たち人間を守ることに繋がるのです。
山から海へ運ばれる水と同じように、私たちが日々の生活で使用している水も、河川を経てやがて海へと流れ着きます。
私たちと共にある美しい山と海に思いを馳せながら、サスティナブル(持続可能)な社会のために、今の暮らしのなかでできる工夫を実践しましょう。
(出典:
https://www.unesco-school.mext.go.jp/international-day/world-oceanoic-day-6-8/)