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帽子やバッグのラフィア製品ができるまで 2024年版

vol.66
第66回目のものづくりストーリーは、第16回目で取材をした「ラフィア製品ができるまで」の第2回目。
2016年の取材から8年が経ち、工房はどのように変わったのでしょうか。

すべてのものには生まれてきたストーリーがあります。
みなさまの手元に届くまでに辿ってきたものづくりの様子を、少し覗いてみませんか。
  • 2016年より登場し、プリスティンの春夏シーズンに欠かせない人気製品となったラフィアの帽子やバッグは、日本から11,477km離れたアフリカ・マダガスカルにあるラフィア工房で作られています。

    この工房を運営するのは、ラフィア愛に溢れる日本人の女性です。今回はミアラカ代表の井口あゆみさんにお話しを伺いました。
  • ミアラカとプリスティンの出会いは、2015年。
    アバンティ当時の代表であった渡邊智恵子が審査員をしていたソーシャルビジネスの大会にミアラカさんが出場されていたことをきっかけに、2016年より一緒にものづくりをしています。

    日本の女性2人で立ち上げられたミアラカ。
    発途上国への国際協力に従事していた際、世界最貧国であるマダガスカルが援助に頼る体質ができてしまっている事を知り、「援助ではなくアフリカの人たち自らの手で経済発展・自立ができる支援をしたい」との思いから、マダガスカルの人々への雇用と収入を目的として、世界最高級ラフィアを紡ぐミアラカを立ち上げました。
  • 【マダガスカルの暮らしに根付くラフィア】

    マダガスカルではラフィアが自生し、昔から生活に密着していたからこそ、葉は帽子やバッグに、枝は家屋の資材に、柔らかい部分は食用など、捨てるところなく使われて愛されてきました。

    マダガスカルはの人々は手先が器用で、勤勉な国民性。学校で教わるでもなく編める人も多いそうです。
  • 【ラフィアとは】

    マダガスカル島やアフリカ大陸、フィリピンなどに自生するラフィア椰子の葉から採れる天然繊維です。軽くて丈夫なマダガスカルのラフィアは、世界最高品質。使うほどにツヤが増して味が出るため、長く使える製品になります。

    葉っぱだけでも1m程あるため、繊維が長く採れる大きな木が想像できますよね。
    ミアラカでは首都から離れた地域で収穫されたものを使用しています。
  • 幹から切り落とした葉は、そのままにしておくとすぐに乾いてしまうため、その場で素早く外皮を剥がす作業を行います。

    剥いだ瞬間は薄緑の半透明ですが、乾くと薄いかんぴょうのようになり、それがバッグや帽子に使われる繊維(内皮)となります。

    ミアラカの工房では繊維をマルシェで仕入れたあと、ねじられた束を解いて綺麗に洗い、乾燥させてから使用します。ポニーテールや三つ編みの髪をほどいて、洗髪して乾かすようなイメージです。
  • 【ラフィア愛に溢れた工房の様子】

    ミアラカさんの工房は、マダガスカルの高地にある首都から少し離れた場所にあります。

    工場のような場所ではなく、庭にござを敷きながら、皆がリラックスして作業をする、人間的であたたかい職場です。
  • 2024年プリスティンのコレクションでは、前の写真でも編んでくれている、マルチカラーのバッグが登場しました。この華やかな色のラフィアは、草木染めによるもの。

    なんとこの草木染めもこちらの工房で手掛けています。玉ねぎ、ターメリック、藍、ラテライトという土、チーク材といわれる樹皮などを使います。

    庭で栽培している藍を採取し、ドラム缶の中で自分たちで染めています。
  • 編むのに使うのはこのかぎ針編み。
    工房ではみんなが シャッ、シャッ、とラフィアを編む音が聞こえます。
  • 工房で働いているのは20名ほど。

    ふたりでとなりに座って作業しているのは、アトリエでただ一人の男性の編み手TOLOTRA(トウルチャ)さんと、その妻SANTATRA(サンタチャ)さん。いつも夫婦二人で座って作業されているそうです。
  • 【働きやすい環境】

    作業は朝から7〜8時間くらい。家から歩いて来る人もいるので、陽が暮れないうちに帰ります。

    みなさん途中で、蒸したお芋やフルーツ、MOFO GASY(ムフガシ)というマダガスカルのパンなどを食べたりと、おやつタイムを楽しみます。

    妊婦さんは家に持ち帰って作業したり、働きやすい環境が整っています。
  • 2023年には生産活動をストップして1ヶ月間のスキルアップ研修を開催。グループに分かれて自らデザイン制作した作品のコンテストをしました。
    仕事のやりがいを生み出したり、士気が上がるように、メンバーを大事にする工房のあたたかさが伝わってきます。
  • ミアラカ代表の井口さんは、現地に行けない時は日本から現地とやりとりをするのですが、このあたたかな工房の雰囲気は、人を大切にするリーダーの存在が大きいそうです。

    シャイな方ですが、素敵な笑顔でラフィアからひょっこりお顔を見せてくださったKEMBA(ケンバ)さん。

    感性が豊かで、繊細なやりとりもできるから、やりたいものづくりのニュアンスも伝わるそうです。
    日本に憧れている彼女。いつか日本でお会いしたいですね。
  • 【世界最高品質の美しいラフィア製品を】

    マダガスカルは、現在世界的に人気の高まるラフィア製品の需要に後押しされ、新しい工房がたくさんできているそうです。
    しかしミアラカでは、ゆっくりのんびりとした国民性を尊重し、短期的な納期を設けたり無理強いすることなく、少数生産で作り手がゆとりを持ってものづくりに取り組める環境を整えることを大切にしてきました。

    ラフィアのものづくりを通して実現したい事は、原料だけが輸出されるのではなく、マダガスカルの産業として現地での雇用や収入につながること。

    井口さんは「貴重なラフィアが安く大量に消費されるのではなく、少ない量でも品質を高めて美しいものにして、価値を上げていきたい。」

    「ミアラカ立ち上げ当初にいたもうひとりのメンバーは、結婚、出産、産休、そして退職という人生の道を選ばれすぐ一人になりましたが、アバンティをはじめ多くの方々のお力に支えられて歩みを進めております。」と話してくださいました。
  • 【限りある資源を、循環させるために。】

    ミアラカさんは作るだけではなく、植樹活動もされています。

    ラフィア椰子は一生に一度しか実を付けず、実がついた木は寿命となり、落ちた実がまた大木となり葉をいただけるまでには10年の歳月がかかります。

    限りある大地からの頂き物だからこそ、この先もマダガスカルの産業として発展していくことを願い、2023年からは現地で何十年もラフィアの植樹活動をしているASSOCIATIONと共に植樹活動をスタート。
  • 首都から500kmほど南下したフィアナランツォアという中央高地の大自然の中。
    村の小学生も教育の一環として一緒にラフィアの苗を植えています。
  • 苗木を頭上に乗せて川を渡る女性と植樹の写真。

    「植樹したラフィアは、ミアラカの木でも、誰の木でもなく、大地の木。大地の恵みに支えられているのは人間でありその逆ではないことを、リーダーも私たちも忘れてはいけないと思っています。」井口さんは熱い言葉で話してくださいました。
  • いかがでしたでしょうか。マダガスカルでのものづくりの様子や思いをご紹介させていただきました。

    「マダガスカルと日本を、ラフィア愛でつなぐ。」

    ラフィア愛に溢れラフィアを編むマダガスカルの人たちと、ラフィアが好きでお使いいただくお客様方の双方のラフィア愛が紡いでいく物語をイメージして、マダガスカル語で共に(WITH)を意味する「ミアラカ」を名付けたそうです。
  • ミアラカとプリスティンで作る製品には、ラフィアが好きな方はもちろん、情熱あるものづくりに想いを寄せる方もきっと心惹かれる要素が詰まっています。

    工場で作るカンペキな仕上がりでは味わえない、編み子の手先や収穫したラフィアそのものの素材感、その時々で変化する草木染めの色合いを、ぜひ味わいお楽しみください。

    ものづくりに宿るたくさんの愛が伝わりますように。

    素材提供:株式会社ミアラカ様




  • ラフィアブレードマルシェバッグ
    暑い日差しの中でも風通しが良く、心地よく使えるのは、たっぷりの陽を浴びて育った椰子だからこそ。 ブレードマルシェバッグは、ラフィアで編み上げた紐状のブレードを、螺旋状に繋ぎ合わせて作るためとても丈夫です。 長さのあるものも入れやすい口の広い形で普段使いも◎ポプリンの巾着袋付きで、バックの中を見せないように安心して使っていただけます。 大きさが丁度良く、ナチュラルカラーのラフィアの素材感が夏を待ち遠しくさせます。
  • ラフィアタッセル付フラップバッグ
    ラフィアで編んだ、フラップが付いたバッグ。 サイドとセンター部分で編み組織を替えて表情を出しています。 内ポケット、底板がついてきれいに物が収まります。
  • ラフィアロゴ入りトートバッグ
    ラフィアを細編みで編み上げたトートバック。 シンプルなトートバッグにPRISTINEロゴを編み込みました。 ロゴ部分に使用しているブラウンのラフィアは紅茶で染めています。 小物を入れるのに便利な内ポケット付き
  • ラフィアマルチカラートートバッグ
    天然の染料で染めたラフィアを使用したカラフルなトートバッグです。 正面はストライプ、脇のマチはボーダーと、柄の切り替えも楽しいデザイン。 内ポケット付きで、カードケースやスマートフォンを入れることができます。
  • ラフィア中折れブレードハット
    ラフィアで編んだテープ状のブレードを一段一段巻きながら重ね合わせて作られた中折れハット。 重ね合わせたブレードは、ラフィアの繊維で手縫いで縫い留められています。 cactus flower柄のタッセル付きコード紐を巻いてアクセントに。
  • ラフィアメッシュボックスバッグ
    マダガスカルでひとつひとつ手間暇を掛けて編んだ、かぎ編みのメッシュボックスバッグです。
    サイドに通したタッセル付の紐で、バッグ口のマチを畳んで固定できます。
    ユーカリで染めたブラウンカラーでの展開です。

この生地でできた他のアイテム

  • ラフィアコンビカラー中折ハット
    ブリム(帽子のツバ)からサイドクラウンの中間までをナチュラルとユーカリで染めたブラウンのボーダー柄にした、これまでにない新鮮なデザインです。
  • ラフィア ハット(ピン付き)
    ナチュラルとブラウンのラフィアでシンプルなデザインにしました。ブラウンはユーカリで染めています。
  • ラフィア 巾着ミニバッグ
    ころんとしたフォルムがかわいい巾着バッグ